ワクチンで予防できる主な感染症一覧

①麻疹(はしか)

麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスによる感染症です。

現在、日本で確認される麻疹患者のほとんどは、海外で感染して帰国後に発症したケースであり、かつて国内で流行していた D5型ウイルスはすでに消滅しています。


■ 非常に高い感染力

  • 麻疹の潜伏期間は約2週間です。
  • 感染力はきわめて強く、感染症の中でも「最も感染力の強いウイルスのひとつ」とされています。
  • 麻疹は、咳やくしゃみによる飛沫感染だけでなく、空気感染を起こす数少ない感染症です。
  • 感染者がいた部屋に後から入室しただけでも感染が成立することがあり、個人の注意だけで防ぐことは困難です。


また、麻疹は基本再生産数(R₀)が非常に高いことでも知られています。

  • R₀とは「1人の感染者が、免疫を持たない集団の中で平均何人に感染させるか」を示す指標ですが、
  • 麻疹では 12〜18 とされ、インフルエンザや新型コロナウイルスと比べても桁違いに高い数値です。
  • このため、麻疹の流行を防ぐには、高いワクチン接種率による集団免疫が不可欠とされています。


■ 成人も(本来は)ワクチン接種が重要です

  • 「一度かかればもう安心」という考えは誤解です。
  • 現在は、成人に対しても2回のワクチン接種が推奨されています。
  • 欧米諸国では、MR(麻疹・風疹)ワクチンを小児期に2回接種した後も、医療従事者、学生、渡航者などを対象に成人期の追加接種(ブースター)が制度化されています。


一方、日本では成人への定期的な追加接種の仕組みが乏しく、その違いが成人麻疹の発生につながっている可能性が指摘されています。また、成人麻疹は小児期の麻疹よりも重症化しやすいことが知られており、肺炎や脳炎などの合併症を起こすリスクも高くなります。ワクチン未接種の方や、「かかったかどうか記憶があいまい」な方は、ぜひ接種をご検討ください。


■ 重い合併症:SSPE(亜急性硬化性全脳炎)

かつては「はしかにかかれば大人の仲間入り」と言われていましたが、麻疹は決して軽い病気ではありません。

まれに、発症から数年〜十数年後に「SSPE(亜急性硬化性全脳炎)」を発症し、

全身まひや意思疎通が困難になるという、極めて重篤で悲しい経過をたどることがあります。

このような合併症は、ワクチン接種によってほぼ確実に防ぐことが可能です。


■ まとめ

麻疹は、非常に感染力が強く空気感染を起こし個人の注意だけでは防ぐことが難しいという特性を持つ感染症です。

ワクチン接種によって社会全体で守ることが求められる疾患であり、自分自身と、周囲の大切な人を守るためにも、接種を強くおすすめします。

※当院では未就学児の定期接種は実施しておりませんが、疾患の重大性から、あえて本項目に記載しております。